知識と経験を生かし、安全と確実を両立する最良の医療を目指します。
内視鏡のレンズに加わったハイビジョンズーム機能では、従来の映像と比べ画像の密度が非常に高く、光学100倍ズームによって非常にリアルで鮮明な映像を得る事ができます。
また、NBIシステムでは、内視鏡機器の先端から発せられる人体に害のない特殊な光が体内を照らし、肉眼で見るより詳しく毛細血管を見ることができるため、粘膜に潜んだわかりにくい腫瘍も発見できます。
この二つの機能を同時に備えることで、今まで早期に見つけることが困難だった早期食道がん、早期咽頭がんの発見に圧倒的な威力を発揮しています。このシステムは、これまでの内視鏡検査と同様苦痛のない検査でありながら、さらに安全で精度の高い検査です。
30代〜40代と比較的若い年代で発症する胃のスキルスがんは、胃の内壁にもぐりこんで広がっていくため『発見しにくいがん』と言われています。
特に内視鏡検査中にゲップの出やすい方は、胃を十分に膨らませながら検査を行えないため、レントゲン(透視)による検査も必要でした。
当院では、胃の内視鏡検査の際、のどぼとけの下の軟骨を軽く押さえる事によって胃を十分に膨らませた状態にし、ゲップのでやすい方でも、スキルスがんを少しでも初期段階で発見できるよう努めています。
大腸検査では、大腸に空気をたくさん入れて十分に膨らますことで、平坦な病変やひだの裏側に隠れた病変の発見を心がけます。しかし従来は、検査後に大腸内に残った空気でお腹が張って苦しいということが多々ありました。
当院では、空気の代わりに、体に吸収されやすい二酸化炭素(ビールや炭酸の泡と同じ成分)を使用することで、検査後のお腹の張りを抑えています。腸管を十
分に膨らませて詳細な検査が実施できるのは空気と同様です。もともと腹腔鏡手術に使用された技術で、学会でも注目されています。
また検査中は、見落としがないよう、腸の中に溜まった液体を移動させるためや折れ曲がった腸を平坦にするためなどに、必要に応じて体の向きを変えさせていただいています。
胃がんの主な原因は、ピロリ菌感染と遺伝的素因です。遺伝的素因というのは、“ピロリ菌の感染によって胃がんになりやすい遺伝的要素を持っているか”という事ですので、ピロリ菌の発見と治療が胃がん予防の大きなカギです。
従来、ピロリ菌感染の検査は、尿検査や胃の組織検査、吐く息に含まれるアンモニアの検査(呼気テスト)などに頼ってきました。当院では、鮮明なハイビジョンズーム内視鏡を用いることで、胃の表面でピロリ菌に荒らされた範囲の判定をできるようになりました。
当院では、内視鏡の先端にゴム製のフードを取り付けています。これは、腸のひだの裏に隠れていて今まで見えにくかった部分を見るための工夫です。腸内を傷付けない弾力性のある軟性フードを腸内のひだにひっかけてめくることで、限られていた観察範囲を改善しました。